冷たい北風も、凍った路面も、単調でつまらない教授の講義の愚痴も、なんとなくで買って冷めかけた焼き芋も、ユキの手にかかれば全てが極彩色に彩られていく気がした。
春の桜を、夏の海を、秋の紅葉をユキはなんて言うんだろう?
ユキの目に映る世界は、どのくらい輝いているんだろう?
そんなありきたりなことを思う平凡な僕には、ユキがとても眩しく見える。その輝きに目が眩んで、時々卑屈な僕が顔を覗かせるけれど、ユキが側にいてくれるならそんな劣等感さえ悪くはないと思えた。
「なんだか春の気配がするねぇ…今年はもう、雪は降らないのかな。」
ベンチの背もたれに豪快に寄りかかって上半身を溶かし、雲ひとつない空を見上げて不意にユキが残念そうに呟いた。
「…さぁ?まだ2月だし、急に寒さが戻って雪が降ることもあるんじゃない?」
つまらない僕のマジレスに、ユキは「そうだといいな」と笑った。その潮らしさに、なぜか違和感を覚えた。声をかけようとしたその瞬間、1時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「今日はここまでかぁ…残念!」
僕が何かを言う間も与えず、ユキは勢いをつけて立ち上がる。
その残像を残す様に靡く長い白金色の髪を僕はただ黙って見つめていた。
「じゃあね、悠人くん。また明日!」
あとに続いてゆっくりと立ち上がった僕を、ユキは満面の笑みで手を振り見送る。
そうだ、この違和感の正体はまた明日探ればいい。
春の桜を、夏の海を、秋の紅葉をユキはなんて言うんだろう?
ユキの目に映る世界は、どのくらい輝いているんだろう?
そんなありきたりなことを思う平凡な僕には、ユキがとても眩しく見える。その輝きに目が眩んで、時々卑屈な僕が顔を覗かせるけれど、ユキが側にいてくれるならそんな劣等感さえ悪くはないと思えた。
「なんだか春の気配がするねぇ…今年はもう、雪は降らないのかな。」
ベンチの背もたれに豪快に寄りかかって上半身を溶かし、雲ひとつない空を見上げて不意にユキが残念そうに呟いた。
「…さぁ?まだ2月だし、急に寒さが戻って雪が降ることもあるんじゃない?」
つまらない僕のマジレスに、ユキは「そうだといいな」と笑った。その潮らしさに、なぜか違和感を覚えた。声をかけようとしたその瞬間、1時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「今日はここまでかぁ…残念!」
僕が何かを言う間も与えず、ユキは勢いをつけて立ち上がる。
その残像を残す様に靡く長い白金色の髪を僕はただ黙って見つめていた。
「じゃあね、悠人くん。また明日!」
あとに続いてゆっくりと立ち上がった僕を、ユキは満面の笑みで手を振り見送る。
そうだ、この違和感の正体はまた明日探ればいい。



