無理矢理タメ口に言い換えたせいで変な口調になってしまった。それにもいちいちユキは反応して、「何今の。ヘンな喋り方。」と笑った。
「ずっとね、窓から見えてたの。つまんなそーうな君の丸まった背中と下ばっかり向いてる頭。」
ホラ、今もね。とでも言いたげに、雪は屈んで下を向く僕の顔を覗き込む。無理やり視界に入り込んだ幼顔は、寒さで鼻が赤くなってる。人間なんだと認識してドキッとした。
「で、何がそんなにつまんないのかと思ってずーっと見てたんだけどね?先週、道が凍った日!…あったでしょ?」
パチンと指を鳴らしてニヤリと笑う。なぜそんなドヤ顔なのか。
「みんなが滑るの怖くてペンギンみたいになってる中、君だけ“いつも通り”につまんなそうに歩いてて!…なんかもうロボットかよー!っておかしくて。…で、話しかけたってわけ。」
その光景を思い出しているのか、今度は手を叩いて大笑いするユキ。儚げな見た目とは裏腹に、表情はくるくる豪快に変わって忙しい。話を聞いているだけで疲れてきた。
未だひとり笑い転げているユキを尻目に、唐突に立ち上がる。それに気づいたユキは、ようやく笑うのをやめて不思議そうに首を傾げた。
「地元が雪の多いとこだから慣れてただけだよ。…僕は見てた通りのつまらない人間なんで。それじゃ、講義始まるので。」
リュックを背負い直して歩き出す僕の背中に向かって、ユキは問いかける。
「明日も、お話ししてくれる?」
僕はそれを無視して振り返ることもせず、校舎の中へ入っていった。
「ずっとね、窓から見えてたの。つまんなそーうな君の丸まった背中と下ばっかり向いてる頭。」
ホラ、今もね。とでも言いたげに、雪は屈んで下を向く僕の顔を覗き込む。無理やり視界に入り込んだ幼顔は、寒さで鼻が赤くなってる。人間なんだと認識してドキッとした。
「で、何がそんなにつまんないのかと思ってずーっと見てたんだけどね?先週、道が凍った日!…あったでしょ?」
パチンと指を鳴らしてニヤリと笑う。なぜそんなドヤ顔なのか。
「みんなが滑るの怖くてペンギンみたいになってる中、君だけ“いつも通り”につまんなそうに歩いてて!…なんかもうロボットかよー!っておかしくて。…で、話しかけたってわけ。」
その光景を思い出しているのか、今度は手を叩いて大笑いするユキ。儚げな見た目とは裏腹に、表情はくるくる豪快に変わって忙しい。話を聞いているだけで疲れてきた。
未だひとり笑い転げているユキを尻目に、唐突に立ち上がる。それに気づいたユキは、ようやく笑うのをやめて不思議そうに首を傾げた。
「地元が雪の多いとこだから慣れてただけだよ。…僕は見てた通りのつまらない人間なんで。それじゃ、講義始まるので。」
リュックを背負い直して歩き出す僕の背中に向かって、ユキは問いかける。
「明日も、お話ししてくれる?」
僕はそれを無視して振り返ることもせず、校舎の中へ入っていった。



