冷え込みが緩む気配はまだなさそう。防寒具なしで出歩ける暦が待ち遠しい。先駆けて春の花でも咲いていてくれたら少しは気が紛れそうだけれど、植物達は暦に従順みたいだ。
僕の隣を歩く彼は、今、何を思っているのだろう。どうでもいいはずなのになぜか気になってしまう。横目でちらりと表情を確認してみたいけれど、彼の肩くらいまでしかない僕の身長では、彼の表情を盗み見るなんてできない。いっそ正面に立ち塞がって、その顔を覗き込んでやろうか。そしたら僕のことを、この先も忘れないでいてくれるだろうか。高2で一緒のクラスになれた僕等が、来年も同じクラスになれるとは限らないからね。
少し話は変わるけど、彼は異様にモテる。なぜかは分からない。内面も外見も申し分ないとなれば、まあ、それだけで充分な理由になるか。
僕らがいる今のクラスに、彼に想いを寄せる女子が5人いる。彼がモテること自体は驚くことでもない。ただ、彼女らが彼に恋心を抱いたタイミングは、それぞれ異なる。それはなんたる偶然か。
なぜ彼ばかり狙われるのだろう。奇妙な運命のいたずらの隣を、僕は小さな歩幅で歩いている。彼の[被]告白譚を初めて聞いた半年前から、その疑念は疑念のままだ。
僕はその女子4人に接触を試みた。今思えば、僕が知りたかったのは彼女等の想いじゃない。その秘話を演繹的に鑑みて、彼の人となりを導きたかったのかもしれない。
岐れ道までまだ時間がありそうだ。彼と他愛もない会話をしながら帰るこの道で、今日こそ僕は一歩を踏み出せるだろうか。
顧みろ。彼が周りの女子からどう思われているか。
僕の頭の中で、4人の先駆者が語り始める。
僕の隣を歩く彼は、今、何を思っているのだろう。どうでもいいはずなのになぜか気になってしまう。横目でちらりと表情を確認してみたいけれど、彼の肩くらいまでしかない僕の身長では、彼の表情を盗み見るなんてできない。いっそ正面に立ち塞がって、その顔を覗き込んでやろうか。そしたら僕のことを、この先も忘れないでいてくれるだろうか。高2で一緒のクラスになれた僕等が、来年も同じクラスになれるとは限らないからね。
少し話は変わるけど、彼は異様にモテる。なぜかは分からない。内面も外見も申し分ないとなれば、まあ、それだけで充分な理由になるか。
僕らがいる今のクラスに、彼に想いを寄せる女子が5人いる。彼がモテること自体は驚くことでもない。ただ、彼女らが彼に恋心を抱いたタイミングは、それぞれ異なる。それはなんたる偶然か。
なぜ彼ばかり狙われるのだろう。奇妙な運命のいたずらの隣を、僕は小さな歩幅で歩いている。彼の[被]告白譚を初めて聞いた半年前から、その疑念は疑念のままだ。
僕はその女子4人に接触を試みた。今思えば、僕が知りたかったのは彼女等の想いじゃない。その秘話を演繹的に鑑みて、彼の人となりを導きたかったのかもしれない。
岐れ道までまだ時間がありそうだ。彼と他愛もない会話をしながら帰るこの道で、今日こそ僕は一歩を踏み出せるだろうか。
顧みろ。彼が周りの女子からどう思われているか。
僕の頭の中で、4人の先駆者が語り始める。
