~シーン6~
再び天地の門の空間。沙耶は、晴れやかな表情で立っていた。
「私、ずっと逃げてたのかもしれない。怖くて、痛くて、向き合うことから目を背けてた。でも、あの二人と話して、確信したの。過去も傷も、私の一部だってことに。」
「……。」
「傷ついた分だけ、強くなれるって信じたい。自分の人生を、ちゃんと生きていきたい。」
神と案内人が静かに現れ、空間は温かい光に包まれた。
「沙耶、君はよくここまで来たね。過去の亡霊に囚われず、自分自身と向き合う勇気を持った。」
神が優しく語りかけた。
「君が立ち向かった分だけ、未来の光は強く輝くものだよ。」案内人が続けた。
「人は誰しも、過去という影に縛られかける。けれどね、その影を直視してなお、前を向ける瞬間がある。そしたら初めて、自由は手のひらに宿るものになるんだよ。」
「自由……。私にも、そんな日が来るんだ。」
「それは君次第だよ。この先、どんな道を選ぶかは。でも忘れないで、君は一人じゃない。」
「誰かの支えが、時に光となり、時に盾となる。」
沙耶は深く頷いた。
「ありがとう。もう怖がらずに歩いていけそう。これからは私の足で未来を描く。どんな困難も、乗り越えてみせる。」
神と案内人は、静かに微笑みながら見守る。
「さあ、門は開かれている。新しい世界へ、進みなさい。」
沙耶は決意の表情で、一歩ずつ光へ歩み出した。


君の未来は、まだ白紙だ。
    どんな色にも、染められる。


「さようなら、でもまたいつか。——ありがとう。」

END