お盆
○空港
勇清「せいかぁー!会いたかったぞぉーっ!!」
人目も気にせず清華に抱きつく。
清華「暑苦しいからやめてよ」引き離そうとする。
2人のやりとりを見守る隼人。
勇清「隼人も久しぶり!清華のこといつもありがとな!」
隼人「うん」

○夜、リビング
隼人がお風呂に入っている間、清華が勇清に話しかける。
清華「ねぇ、お兄」
勇清「ん、どうした?」
清華「…何で教えてくれなかったの?」
勇清「…隼人のこと?」
清華「うん」
勇清「うーん、清華覚えてなかったみたいだし、人として当たり前のことをしただけなのに、わざわざ俺が言うのも違うだろ。それにさ、隼人の口から伝わるのが1番良いと思ったんだよ」明るく
清華「…。」
(お兄らしい理由だな…)

勇清「そろそろ寝るか。あ、でも、どうっすかなー。俺死ぬほど寝相悪いから、同じ部屋に隼人を寝せるわけにはいかねーし。…清華、お前の部屋でいい?」
清華「…は?敷布団置けばお兄の部屋でいけるでしょ」
勇清「俺ベットから落ちることあるから無理。一応お客だしソファに寝せるのはダメだし」
清華「お兄がソファで寝ればいいじゃん!」
勇清「何日もソファで寝てたら身体死ぬだろ!」
清華「じゃあ私がソファに…」
(待って、寝るだけとはいえ自分の部屋を居ない時に使われるの嫌かも…)苦渋の顔
「…分かった。私の部屋に布団敷くよ」
勇清「さんきゅ!」

○清華の部屋
ベットの横に少し間隔開けて敷布団。
清華「電気消しますね」
暗くなる。
隼人「クシュンッ」くしゃみ
清華「寒いですか?」
(温度下げ過ぎたかな?あ、エアコンの風がそっち側は直接当たるんだった…)
「こっちの方が風当たらないんで、場所代わりますか?」起き上がる
隼人「そしたら清華ちゃんが冷えちゃうじゃん」
清華「うーん…」悩む
どしっ、隼人がベットの上にくる。
隼人「一緒に寝ればよくない?」
清華「え!?」
返事を聞かずゴロンと隣に寝転ぶ。横向き。
清華「ちょっと!困りますって!」
隼人「前も一緒に寝たじゃん」
風邪の翌朝寝たことを思い出す清華。
清華「あれは仕方なくで…」
ぐいっ、腕を引っ張られ寝転ぶ。向き合う形。
清華の手を握り、暗い中見つめ合う。
隼人「…結婚したらさ、毎日こんな幸せなんだね」
清華「え…」
隼人「同じ家に帰って、一緒にご飯食べて、隣で寝て、朝起きたら1番におはようって言える。その相手が清華ちゃんならすげー幸せ」
清華「…。」頬染まる。
隼人「おやすみ」
ちゅ、清華のおでこにキスをし、目を閉じる。
清華(どうしよう…なんか嬉しい)


○バイト先カフェ
休憩時間
榎本「今、お兄さん帰って来てるんだ」
清華「うん」
榎本「かなり過保護って寺ちゃんが言ってたけど、もしかして店に来たりする?」
清華「実は、今日来るかもしれなくて…」
榎本「まじか!来たら教えてよ、挨拶したいし」
清華「教えなくても分かると思う…」

店内入り口
ルンルンで入って来る勇清と後ろでいつも通りローテーションの隼人。
清華(ほんとに来た…)嫌そうな顔
榎本も2人に気付く。
清華「いらっしゃいませ。2名様ですか?」全力の営業スマイル
勇清「清華!そのユニフォーム?すげー可愛いじゃん!な、隼人」
隼人「うん、可愛い」顔アップめ
思わずキュンとなる清華。
清華「…他のお客様の迷惑になるから静かに過ごしてね」
勇清「分かってる分かってる」

席に着いた2人。

2人から離れた清華の側に榎本が来る。
榎本「お兄さん、かっこいいね」
清華「どこが」
榎本「あの先輩、お兄さんと仲良いんだ」
清華「うん」
勇清「注文お願いしまーす」席から
榎本「あ、俺がいくよ」

2人の注文を受けている榎本
榎本「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
勇清「はい、お願いします」
榎本「ご挨拶遅くなったんですが、吾郷さんと同じクラスの榎本と申します」ニコッ
勇清「えっ、そうなの!?あ、もしかして清華をバイト誘ってくれたの君!?」
榎本「そうです」
勇清「まじか!誘ってくれてありがとな!!」笑顔
隼人「…。」
榎本「いえ、こちらこそ吾郷さんが来てくれて、とても助かっています。…では、ごゆっくり」

榎本「めっちゃ良いお兄さんじゃん!俺、ファンになっちゃった」
清華「えー?ちょっと話しただけなのに?」
榎本「うん、なんか絶対良い人だろうなっていうのがすんごい伝わってきた。あれで、喧嘩も強くて妹思いとか最強じゃない?」
清華「なっしーみたいになってるじゃん」
榎本「木梨は会ったことないから、俺の方が上かな」
清華「その張り合い意味ないからー」
榎本「あはは」

レジで会計する勇清、対応は榎本。
勇清「お邪魔しました」
榎本「いえ、今日はありがとうございました」
勇清「不慣れで迷惑かけるかもだけど、妹のことよろしくな!あ、もし学校で清華になんかあったら婚約者のこいつが何とかするから教えてやって」隼人の肩を抱き寄せながら
榎本「…婚約者?」
勇清「じゃあ、またなー!」
帰って行く。

○夜、リビング
夜ご飯を食べ終え、ソファでくつろぐ勇清。清華と隼人はダイニングテーブルに向かい合って座っている。
勇清「あ、清華明後日の夜空いてる?」
清華「夜?空いてるけど」
勇清「正樹たちと飲むから、清華も隼人と一緒に来いよ」
清華「まさくんも帰って来てるの!?」
勇清「なんとか連休取れたらしい」
清華(まさくんは、お兄の小学校からの友達で、私も小さい頃から遊んでもらったり、可愛がってもらっていた。大学卒業後は、九州にある会社へ就職したから会うのは久しぶりだ)
嬉しそうな清華を見て、つまらなそうな顔をする隼人。


次の日。
○昼間、ショッピングモールのフードコート
昼ごはんを食べる清華と美月。
美月「まさくんって、あれだよね?清華の初恋の人だよね?」
清華「うん」
(そう、まさくんは私の初恋相手)

過去回想
清華小3、勇清と正樹高1
○マンション
小学校から帰ってきた清華は、玄関に靴が2足あることに気付き、急いで勇清の部屋へ行く。

ガチャ!
清華「やっぱりまさくんだ!!」笑顔
座って漫画読んでる正樹、勇清はベットの上で読んでる。
正樹「清、久しぶりっ!お、また背伸びだんじゃね?」
立ち上がり、清華の横にいき背を比べる。嬉しこうな清華。
正樹「もうさせてもらえないかもしれねーからやっとくか!」
ぐいっ、清華を持ち上げ高い高いをする。
清華「もぉー恥ずかしいからー!」
正樹「あはは!」

現在
清華(まさくんにはずっと彼女がいたし、妹扱いしかされていないのは分かっていた。そんな実らぬ初恋は、人として好きでいることで終わらせたから、今さらまさくんへの恋愛感情はない)
美月「実はさぁ、私好きな人出来たの!」
清華「えぇー!だれだれ!?」
コソコソ耳打ち
清華「なっしー!?」
美月「しーっ!声デカイよ」
清華「ごめんごめん。ちょっと意外で」
美月「入学当初から男らしくて優しいなって思ってたの。それでマネージャーとして関わるうちにもっと良さを知って…気付いたらずっと頭の中になっしーがいてさ」
清華(ずっと頭の中に…)
思い浮かべる、隼人の目元なしの口元か横顔のショット。


次の日。
○夜、居酒屋
座敷の長テーブルの席。清華の横に隼人、向かいに勇清。その他勇清の友達3人。正樹はまだいない。
勇清「久々の再会にかんぱーい!!」
ビール片手に乾杯する。隼人はコーラ、清華はジュース。

しばらくして正樹が店に入って来る。店のドアを開ける手のみのショット。席に近づく足元。
正樹に気づく清華。
正樹の膝ぐらいまでのショット、大人っぽくかっこいい雰囲気。
正樹「久しぶり」軽い笑み
頬赤くなる清華の顔と真顔の隼人の顔。