7月
○1年C組、10分休憩中
榎本「吾郷ちゃん!」
清華「なに?」
榎本「あのさ、来月俺のバイト先で働かない?」
清華「え?」
榎本「帰省組や受験や就活で辞める人がいて、夏休み中は人手不足なんだよー。8月の間だけでいいからどうかな!?もちろん、勤務時間や日数のわがまま聞くし」手を合わせお願いする。
清華(たしかカフェでバイトしてるって言ってたよね)
「返事、少し待ってもらってもいい?」
榎本「うん、大丈夫だよ」

○夜、リビング
テレビを観ながら、勇清と電話で話す清華。
勇清「お盆休みもらえそうだから、来月会いに帰るな!」
清華「うん、わかった。あ、私夏休みの間だけバイトしようと思うんだけどいいかな?」
勇清「バイト?」
清華「うん。バイトしてる友達に夏休みの間だけヘルプで来てほしいって言われて」
勇清「まぁ、社会経験としてバイトすんのはいいんじゃない。一応、俺にバイト先の情報は教えておいて」
清華「分かった、ありがとう」
勇清「あ、ちゃんと隼人にもシフトとか予定伝えておけよ?」
清華「え、何で?関係なくない!?」
勇清「あるだろ。だって夏休みの間、一緒に暮らすんだし」
清華「…。」
突然訳の分からない事を言われ言葉を失う。
清華「え、ごめん。今、なんて言った?」
勇清「だから夏休みになったら、隼人がその家に泊まりに来るから」
清華「はぁーーー!?!?」
勇清「部屋は俺の部屋使っていいって伝えてるから」
清華(なにそれー!?!?)
「いやいや、男女2人が一つ屋根の下とかアウトだよ!」
勇清「婚約してるんだし、何の問題もねーだろ。あ、学生の間はちゃんと避妊しろよ」
清華「何バカなこと言ってんの!?え、鍵とかどーするの」
勇清「余ってたスペアキー渡してるから大丈夫」
清華(!?お兄のあの人への信用度なんなの…)
「はぁ…」ため息


期末テスト期間が始まった。
○廊下
清華が歩いてる。
清華(図書館や自習室で勉強しようと思ったけど、満席だったから…)
2年D組の教室。
ドアを開けると中に隼人がいる。窓際、後ろから2番目の席。
清華「お疲れ様です」
隼人「お疲れ。ここ座って」
隣の席を指差す。
清華「お邪魔します…」
清華が座ると、自分の机をくっつけてきた。
清華(!?)

机に教科書やノートを広げている。
清華「あの、夏休み泊まりに来るって聞いたんですけど…」
隼人「うん、泊まる」
清華「それは…何日間の予定ですか?」
隼人「…毎日だけど、なんか問題ある?」
清華(問題ありまくりだよっ!!)心の中でツッコむ。
隼人「結婚したら一緒に住むんだし、同棲するようなもんでしょ」
清華「…。」
(やっぱりこの人、お兄並みに感覚おかしい…)
「家での私見たら、幻滅すると思いますよ。ダラダラしてるし、それに…」
話しながらノートをめくる、シュッ
清華「痛っ…」
ノートの紙で指先を切ってしまう。血の出る指先アップ。
清華(あ、血が…)
ちゅ…
隼人が清華の手を持ち、血の出た指先を吸う。
清華から見た伏し目がちな隼人の顔。
清華(え…)目を見開き、顔が赤くなる。
隼人と目が合い、ドクンッとなる清華。
清華(指先が熱くなる。…いつも簡単に触れられてしまうのは私に隙があるのかな。それとも…)
隼人「どんな姿見ても幻滅しないよ」
清華(この人の愛の技?)


終業式
○1年C組
式終了後、清華の席の横で話す美月。
美月「夏休み、久しぶりに清華の家遊びに行ってもいーい?」
清華「えっ、家はちょっと…。せっかくの夏休みだし、どっか遊びに行こうよ!」
美月「…そうだね!どこ行く?海もいいし、花火大会とかもいいよね」
榎本「なになにー俺らも混ぜてよ」話に加わる

○2年D組
千原「ねーねー!クラスのみんなで海に遊び行こうよ!」
女子数人が目黒たちに話しかける。
目黒「お、楽しそうじゃーん。夏の青春しなきゃねー」
千原「久城も来てね?」
隼人「…。」
目黒「暇そうなら連れて行くから」フォローする
(ほんと清華ちゃん以外の女の子に関心ないんだから…)

○放課後
駅から家に向かって歩く清華と隼人。
清華「あの、服とか荷物は…?」
隼人「今日マンションに届くようにしてる」
清華「あ、そうなんですね」

マンションに着き、玄関の鍵を開ける。
清華「そういえば、兄と仲良いみたいですけど、我が家に来たことあるんですか?」
隼人「あるよ。清華ちゃんのいない日に来てた」
清華(知らなかった)
玄関に入る。
隼人「お邪魔します」
清華「どーぞ」

清華「一応説明しておきますね」
お風呂やトイレの場所を教えていく。
清華「ここが使ってもらう兄の部屋です。向こうの家にある程度持って行ってるので、前来た時より殺風景だと思います。で,向かいが私の部屋なので、絶対に勝手に入らないでくださいね。用があって入る時は必ずノックしてください」
隼人「了解」

リビングのソファに横並びに座り話す2人。
清華「知ってると思いますけど、うちは親が不在なので家事は自分でします。ご飯はそれぞれ好きに用意して食べればいいかなと思うんですけど」
隼人「お互い予定がない日は一緒に食べようよ。俺、作るし」
清華「え、でも…」
隼人「俺はただ寝に来たわけじゃないから。清華ちゃんと一緒に生活するために来たの忘れないで」
清華「…わかりました。ご飯はそうしましょう。もちろん私も作ります。洗濯物は私がしますね。掃除機やお風呂掃除はお願いしてもいいですか?」
隼人「うん」
清華「あと、お風呂ってシャワー派ですか?浸かりたい派ですか?」
隼人「2人で入るなら浸かった方がいいでしょ」
清華(…ん?)目ぱちぱち
「今、なんて…?」
隼人「一緒に湯船に浸かるって話」
何もおかしいこと言ってないよって表情。
清華(そうだ、この人は感覚がバグってるんだった…)
「一緒には浸かりません。1人で入ってください」
隼人「ひど」
清華「ひどいも何も、裸見せ合うなんて…お風呂に入るのは、大人の一線を越えた2人がすることだと思います」
隼人「じゃあ…」
ぐっと清華に近づき、
どさっ…
肘掛けが背になるように清華を押し倒した。
隼人「…今日越える?」顔アップ、色っぽい感じ。
横から見た2人のショット、軽く覆い被さる形。
清華(仮同棲初日から問題ありまくりなんですけどーっ!)