ゴールデンウィーク明け
○学校、昼休み
担任に言われ、クラス分のノートを別教室に運ぼうとしている清華。教室出たあたり。
榎本「吾郷ちゃん、一緒に運ぶよ」
教室から出てきた榎本が声をかける。
清華「ありがとう」
横並びに話しながら廊下を歩く清華と榎本。
偶然前から隼人が歩いて来た。清華に気づき、横に男がいることに反応。
清華も隼人に気付く。
清華(あ…)立ち止まる。
榎本「?…どうかした?」
隼人「ねぇ」榎本を睨む。
榎本「えっ…」
いきなり睨まれ戸惑う。
隼人「近いんだけど」
清華と榎本の隣り合う肩あたりを見る。
榎本(もしかして、これが例の…)
隼人「清華ちゃん、気をつけて。男子高校生なんてヤることしか考えてないサルだから」
榎本(サ、サル!?)
隼人「俺が一緒に運ぶから」
榎本の手からノートを勝手に取る。
隼人「つーか清華ちゃんのも俺が持つし、ここに乗っけて」
清華「え、あ、ありがとうございます。…えのもっちゃん、もう大丈夫だよ、ありがとね!」
榎本「あ、うん…」
歩いて行く2人の後ろ姿を見る榎本。一瞬、顔だけ後ろを向いた隼人と目が合う。敵対視している雰囲気。
榎本「自分だって男子高校生じゃん…」ぼそっと、不満そうな顔。
別教室に入り、教卓にノートを置いた。
清華「助かりました、ありがとうございました」
隼人「全然」
ぐいっ、隼人がいきなり清華を持ち上げ、教卓に座らせる。
清華「うわぁ…!?」
清華の後頭部あたりに手を添える。
隼人「…俺にできる事を他の男に頼まないで」
ドキッとする。
清華(独占欲の中に狂気を含んだ目で見つめられているのに、嫌な気持ちにならないのは何で…?)
下旬、中間テスト週間が始まった。テスト当日3日間と前1週間は部活動が休みになる。
○放課後
廊下を歩く清華は隼人の元へ向かう途中。前から男子4名が歩いてくる。
3年生男子「君、あごーさん?」
清華「?…なんですか?」
3年生男子「ちょっといいー?」悪そうな笑み
○体育館倉庫内
積まれたマットの前に立つ清華を囲むように4人がいる。
清華「何のつもりですか?同じ学校の後輩にこんな事して」強気な態度
3年生男子「ごめんねー。俺たちもこんな事したくないんだけど、お金貰っちゃったからさぁ」
3年生男子「大人しくしてくれてたらすぐ終わるから」
清華に詰め寄り、身体に触ろうと二の腕を掴んだり、髪を触ったりする。1人はスマホで撮影している。
清華「やめてくださいっ…!」
(どうしよう…やだ…)抵抗しようとその場に座り込む。
ガラガラ…倉庫のドアが開く。
4人がドアの方を見た。
3年生男子「お前誰だよっ…ぐうぉっ…」
隼人に近づいた1人を皮切りに次々と蹴り飛ばされる。※まだ隼人の顔見えてない
清華(え…)
唖然とする清華の前に隼人の姿、下から見上げた清華目線のショット。
隼人はしゃがみ、清華に手を差し出す。
隼人「怪我してない?」
清華「大丈夫…」
清華を立たせてドアに向かう。
隼人「すぐ終わらすから外で待ってて」
清華「えっ…」
清華を外に行かせ、ドアを閉めた。
倉庫内。隼人が立ちあがろうとする3年生たちを冷めた怒りを含んだ目で睨む。その目つきに一瞬怯む3年。
隼人「…勝手に触って、怖い思いさせて…許されると思ってんの?」
ドアの外にいる清華の耳には「ガタンッ」「ドガッ」「ぐうぉっ…」などが聞こえている。鞄を膝の上に抱えてしゃがんでいる。
清華(激しい音がするけど…大丈夫かな)
隼人を心配する。
シーン…静かになる。
清華(…終わったのかな?)
ガラ…ドアから隼人が出てくる。顔を上げ隼人の顔を見た。ネクタイがだらーんと緩んでいるが、無傷。
隼人「お待たせ」
急いで立ち上がる清華。
清華「大丈夫ですか!?」
隼人「うん」
チラッとドアの隙間から中を見た。倒れて動いていない3年、瞼が腫れたり、口や鼻から血が出てる。
清華(嘘…)
隼人「死んでるわけじゃないから安心して。…殺したいほど腹立ったけど」
複雑な表情の清華。
スッと清華の頬に片手を添える。
隼人「簡単に俺以外の男について行かないでよ。清華ちゃんに何かあったら俺、相手のこと殺しちゃうかもしんないから…」
清華(表情1つ変えずそう言われて、冗談なのか本気なのか分からなかった。この人の瞳の奥底に映る私は、一体どんな存在なんだろう…)
隼人の瞳に映る清華の顔の図。
添えていた手をゆっくり下におろし、清華の手を握る。
隼人「…帰ろっか」
○夜、清華の部屋
ベットに寝転び今日の出来事を思い出す。
清華(1人で勝つなんて…。そういえば、お兄も怪我して帰ってきたことなかったな)
数日後。
○屋上、昼休み
紙パックのジュースを飲みながら話している隼人と目黒。2人とも立っている。
目黒「停学になったあの4人、4月に清華ちゃんに絡んできた大学生たちいるじゃん?そいつらにお金もらってやったみたいだよー」
隼人「へぇー」ストロー噛みながら
目黒「本人に仕返し出来ないからって、関係ない妹に危害加えるとか最低だよねぇ」
隼人「…早めに潰したほうがいいかもな」
6月
○朝
学校の最寄駅を出た清華。
目黒「清華ちゃん!」
後ろから目黒が声をかける。
清華「あ、おはようございます」
目黒「おはよーん」
学校に向かいながら話す。
清華「乗る便いつもより早いですよね?」
目黒「そうなんだよー、早起き頑張っちゃった。もうすぐ球技大会じゃん?今日の朝、練習するんだってさー。体育祭でもないのにねぇ。隼人とか面倒だから絶対来ないと思う」
清華(たしかに…)
目黒「ところで、俺がいない帰りの時、2人きりで会話とか大丈夫?隼人のやつ、自分から話題振るタイプじゃないし」
清華「そうですね、あんまり会話はしてないかも…」
目黒「大好きな清華ちゃんと2人でもローテンションなのかぁ、困った男だねー」
清華「…お2人っていつから仲良いんですか?」
目黒「中2かなぁ。同じクラスでたまたま席が近くなって、仲良くなったんだよぉ。性格は全然違うけど、なんて言うのかな、価値観というか波長が合ったんだよねー。一緒にいて楽というか」
清華「そうなんですね。中学の時からあんな感じの人なんですか?」
目黒「隼人?」
頷く。
清華(ほんの少しだけ、あの人のことを知りたいと思った)
目黒「基本的には変わんないかなー。あ、でもすっげーモテたのよ、俺の次にね。俺はなるべく女の子たちの気持ちには応えたい派なんだけどさ、隼人は完全拒否。俺と知り合った頃には、すでに清華ちゃんしか頭になかったからあいつ」
清華(そんなに前から…。知らなかった)
目黒「ちょーっと愛が重いけどさ、本気で清華ちゃんのこと想ってるから、そこは理解してもらえると親友としては嬉しいかな」笑み
清華「…」
○放課後
帰る前にトイレに寄った清華。手を洗う際に、ネクタイが下に垂れて水に濡れてしまう。
清華「あぁ…やっちゃった」
ネクタイを外し、鞄の中にしまった。
渡り廊下で待っている隼人の元へ着く。
清華「お待たせしました」
清華の首元を見た。
隼人「ネクタイは?」
清華「あ、さっき濡れちゃって…」
隼人「そっか」
○マンション
エントランス前、別れ際。
シュルッ…隼人が自分のネクタイを緩め、首から外す。輪っかになったままのネクタイを清華の首にかけた。
清華(?)
そしてネクタイを少し締める。
隼人「清華ちゃんは俺んだから」
ちゅ、おでこにキスをする。
清華「えっ…」頬染まる。
隼人「明日からそのネクタイしてきて。じゃ、お疲れ」
帰って行く隼人の後ろ姿。
キスされたおでこを手で押さえながら
清華「もぉ…誰のものでもないし」ぼそっと
照れているツンデレ顔。
○学校、昼休み
担任に言われ、クラス分のノートを別教室に運ぼうとしている清華。教室出たあたり。
榎本「吾郷ちゃん、一緒に運ぶよ」
教室から出てきた榎本が声をかける。
清華「ありがとう」
横並びに話しながら廊下を歩く清華と榎本。
偶然前から隼人が歩いて来た。清華に気づき、横に男がいることに反応。
清華も隼人に気付く。
清華(あ…)立ち止まる。
榎本「?…どうかした?」
隼人「ねぇ」榎本を睨む。
榎本「えっ…」
いきなり睨まれ戸惑う。
隼人「近いんだけど」
清華と榎本の隣り合う肩あたりを見る。
榎本(もしかして、これが例の…)
隼人「清華ちゃん、気をつけて。男子高校生なんてヤることしか考えてないサルだから」
榎本(サ、サル!?)
隼人「俺が一緒に運ぶから」
榎本の手からノートを勝手に取る。
隼人「つーか清華ちゃんのも俺が持つし、ここに乗っけて」
清華「え、あ、ありがとうございます。…えのもっちゃん、もう大丈夫だよ、ありがとね!」
榎本「あ、うん…」
歩いて行く2人の後ろ姿を見る榎本。一瞬、顔だけ後ろを向いた隼人と目が合う。敵対視している雰囲気。
榎本「自分だって男子高校生じゃん…」ぼそっと、不満そうな顔。
別教室に入り、教卓にノートを置いた。
清華「助かりました、ありがとうございました」
隼人「全然」
ぐいっ、隼人がいきなり清華を持ち上げ、教卓に座らせる。
清華「うわぁ…!?」
清華の後頭部あたりに手を添える。
隼人「…俺にできる事を他の男に頼まないで」
ドキッとする。
清華(独占欲の中に狂気を含んだ目で見つめられているのに、嫌な気持ちにならないのは何で…?)
下旬、中間テスト週間が始まった。テスト当日3日間と前1週間は部活動が休みになる。
○放課後
廊下を歩く清華は隼人の元へ向かう途中。前から男子4名が歩いてくる。
3年生男子「君、あごーさん?」
清華「?…なんですか?」
3年生男子「ちょっといいー?」悪そうな笑み
○体育館倉庫内
積まれたマットの前に立つ清華を囲むように4人がいる。
清華「何のつもりですか?同じ学校の後輩にこんな事して」強気な態度
3年生男子「ごめんねー。俺たちもこんな事したくないんだけど、お金貰っちゃったからさぁ」
3年生男子「大人しくしてくれてたらすぐ終わるから」
清華に詰め寄り、身体に触ろうと二の腕を掴んだり、髪を触ったりする。1人はスマホで撮影している。
清華「やめてくださいっ…!」
(どうしよう…やだ…)抵抗しようとその場に座り込む。
ガラガラ…倉庫のドアが開く。
4人がドアの方を見た。
3年生男子「お前誰だよっ…ぐうぉっ…」
隼人に近づいた1人を皮切りに次々と蹴り飛ばされる。※まだ隼人の顔見えてない
清華(え…)
唖然とする清華の前に隼人の姿、下から見上げた清華目線のショット。
隼人はしゃがみ、清華に手を差し出す。
隼人「怪我してない?」
清華「大丈夫…」
清華を立たせてドアに向かう。
隼人「すぐ終わらすから外で待ってて」
清華「えっ…」
清華を外に行かせ、ドアを閉めた。
倉庫内。隼人が立ちあがろうとする3年生たちを冷めた怒りを含んだ目で睨む。その目つきに一瞬怯む3年。
隼人「…勝手に触って、怖い思いさせて…許されると思ってんの?」
ドアの外にいる清華の耳には「ガタンッ」「ドガッ」「ぐうぉっ…」などが聞こえている。鞄を膝の上に抱えてしゃがんでいる。
清華(激しい音がするけど…大丈夫かな)
隼人を心配する。
シーン…静かになる。
清華(…終わったのかな?)
ガラ…ドアから隼人が出てくる。顔を上げ隼人の顔を見た。ネクタイがだらーんと緩んでいるが、無傷。
隼人「お待たせ」
急いで立ち上がる清華。
清華「大丈夫ですか!?」
隼人「うん」
チラッとドアの隙間から中を見た。倒れて動いていない3年、瞼が腫れたり、口や鼻から血が出てる。
清華(嘘…)
隼人「死んでるわけじゃないから安心して。…殺したいほど腹立ったけど」
複雑な表情の清華。
スッと清華の頬に片手を添える。
隼人「簡単に俺以外の男について行かないでよ。清華ちゃんに何かあったら俺、相手のこと殺しちゃうかもしんないから…」
清華(表情1つ変えずそう言われて、冗談なのか本気なのか分からなかった。この人の瞳の奥底に映る私は、一体どんな存在なんだろう…)
隼人の瞳に映る清華の顔の図。
添えていた手をゆっくり下におろし、清華の手を握る。
隼人「…帰ろっか」
○夜、清華の部屋
ベットに寝転び今日の出来事を思い出す。
清華(1人で勝つなんて…。そういえば、お兄も怪我して帰ってきたことなかったな)
数日後。
○屋上、昼休み
紙パックのジュースを飲みながら話している隼人と目黒。2人とも立っている。
目黒「停学になったあの4人、4月に清華ちゃんに絡んできた大学生たちいるじゃん?そいつらにお金もらってやったみたいだよー」
隼人「へぇー」ストロー噛みながら
目黒「本人に仕返し出来ないからって、関係ない妹に危害加えるとか最低だよねぇ」
隼人「…早めに潰したほうがいいかもな」
6月
○朝
学校の最寄駅を出た清華。
目黒「清華ちゃん!」
後ろから目黒が声をかける。
清華「あ、おはようございます」
目黒「おはよーん」
学校に向かいながら話す。
清華「乗る便いつもより早いですよね?」
目黒「そうなんだよー、早起き頑張っちゃった。もうすぐ球技大会じゃん?今日の朝、練習するんだってさー。体育祭でもないのにねぇ。隼人とか面倒だから絶対来ないと思う」
清華(たしかに…)
目黒「ところで、俺がいない帰りの時、2人きりで会話とか大丈夫?隼人のやつ、自分から話題振るタイプじゃないし」
清華「そうですね、あんまり会話はしてないかも…」
目黒「大好きな清華ちゃんと2人でもローテンションなのかぁ、困った男だねー」
清華「…お2人っていつから仲良いんですか?」
目黒「中2かなぁ。同じクラスでたまたま席が近くなって、仲良くなったんだよぉ。性格は全然違うけど、なんて言うのかな、価値観というか波長が合ったんだよねー。一緒にいて楽というか」
清華「そうなんですね。中学の時からあんな感じの人なんですか?」
目黒「隼人?」
頷く。
清華(ほんの少しだけ、あの人のことを知りたいと思った)
目黒「基本的には変わんないかなー。あ、でもすっげーモテたのよ、俺の次にね。俺はなるべく女の子たちの気持ちには応えたい派なんだけどさ、隼人は完全拒否。俺と知り合った頃には、すでに清華ちゃんしか頭になかったからあいつ」
清華(そんなに前から…。知らなかった)
目黒「ちょーっと愛が重いけどさ、本気で清華ちゃんのこと想ってるから、そこは理解してもらえると親友としては嬉しいかな」笑み
清華「…」
○放課後
帰る前にトイレに寄った清華。手を洗う際に、ネクタイが下に垂れて水に濡れてしまう。
清華「あぁ…やっちゃった」
ネクタイを外し、鞄の中にしまった。
渡り廊下で待っている隼人の元へ着く。
清華「お待たせしました」
清華の首元を見た。
隼人「ネクタイは?」
清華「あ、さっき濡れちゃって…」
隼人「そっか」
○マンション
エントランス前、別れ際。
シュルッ…隼人が自分のネクタイを緩め、首から外す。輪っかになったままのネクタイを清華の首にかけた。
清華(?)
そしてネクタイを少し締める。
隼人「清華ちゃんは俺んだから」
ちゅ、おでこにキスをする。
清華「えっ…」頬染まる。
隼人「明日からそのネクタイしてきて。じゃ、お疲れ」
帰って行く隼人の後ろ姿。
キスされたおでこを手で押さえながら
清華「もぉ…誰のものでもないし」ぼそっと
照れているツンデレ顔。



