数日後
○朝
登校中の清華。1人で歩いてる。
清華(あれから本当に毎日一緒に下校している…)
一緒に横並びで歩いたり、電車内で近くに立つ2人などのシーンいくつか。
清華(目黒先輩はいたりいなかったり)
3人で帰っている図。
清華(婚約者というよりボディーガードって感じ?)ボディーガード風の隼人の姿、サングラスに黒スーツみたいな。


下旬
○朝、学校、駐車場
オリエンテーション合宿に行くため、大型バスに乗り込む清華たち1年生。体操服姿。1泊用の荷物を持っている。

美月と並んで座る清華は窓から外を見る。
清華(!?)
少し離れたところに隼人と目黒を見つける。目黒はスマホを見ている。隼人はポケットに手を入れ、バスの方を見ている。
清華(え、まさか見送り…!?)

隼人「あ、前の席に男が座った…」
スマホから視線を前に向ける目黒。
目黒「え、どこどこー?隼人のその視力の良さなんなの」
気にいらない顔をしている隼人。
目黒「そんなに心配なら付いて行けばいいのにー」
隼人「そうしよっか」
目黒「いやいや、冗談だから。そんなことしたら嫌われちゃうよーん」
隼人「…嫌われるとかありえないから」
嫌われる考えがない隼人に対し、やれやれの顔をする目黒。

合宿先の施設に着いた清華たち。

荷物を部屋に置いてきた生徒たちが整列している。
担任「これから班ごとに森の中の指定されたルートを進んでゴールを目指してもらう。1人だと困難な箇所もあるから、協力し合って、絆を深めてくださーい」

木梨「じゃ、行きますか!」
ルートの地図を持ち出発する清華、美月、榎本、木梨。

急角度の石造りの階段を登っている。一段ごとの高さがあり、登るのも一苦労。最後に美月が登っていると
木梨「寺ちゃん、ほら」笑顔
美月に手を差し出す。
美月「…ありがとう」
その後も様々なコースを進んでいく。ボルダリングをしながら横に移動したり、水上の幅の狭い板を渡ったり。

無事ゴールした4人。
木梨「ゴールー!!」
清華「思ったより疲れたね」
美月「明日絶対筋肉痛だよー」
榎本「あはは、ここの施設大浴場があるらしいから疲れ取れるといいね」

夜、班ごとにバーベキューを楽しむ生徒たち。
榎本と木梨が焼いてくれている。
榎本「2人って椿女子中なんだよね?」
美月「うん」
木梨「女子校だよな!?」
榎本「そのまま椿女子高校に行く子も多いイメージだけど、2人は違ったんだね」
美月「私は制服が可愛くて椿に行ったんだけど、家から少し離れてたし、高校は共学がよかったから」
榎本「あーあそこの制服可愛いよね!吾郷ちゃんは?」
清華「私は…」言葉に詰まる
榎本「?あれ、聞かないほうがよかった?」
清華「いや、別に。…兄がかなり心配症で、親よりも過保護というか…だから男のいる共学に行かせるの嫌って駄々こねてきて、仕方なく椿に行ったの。ま、家から近かったから通学は楽だったけど」
木梨「勇清さんそんな一面あるんだ!」
榎本「へぇ。でもそれなら高校も女子校じゃないとダメだったんじゃない?」
清華「私も絶対そう言われると思ったんだけど、なぜか舞泉ならいいぞって言われて」
美月「お兄さん、ほんと清華ラブだもんね!行事も毎回観に来てたよね!…あ!!」
いきなり大きな声を出され、びっくりする清華たち。
清華「なに!?」
美月「思い出した!あの久城って先輩、どっかで見たことあるなぁって思ってたの。たしか、去年の体育祭にお兄さんと応援に来てた数人の中にいた!」
清華「え、そうなの!?」
榎本「あれだっけ、いきなり現れて彼氏ヅラしてる先輩だっけ?見たことないけど」
清華「うん、まぁ…」
(彼氏ヅラというか婚約者ヅラというか…)
木梨「勇清さんの周りにいる人なら良い人なんじゃね?」
美月「お兄さんと話したことすらないくせに、何でなっしーがそんな事言うの」
木梨「ゔっ…」
清華(距離感や感覚はバグってるけど、悪い人じゃないのは…わかるかも)

○大部屋
就寝時間になり、布団に入った清華はスマホを確認する。隼人から連絡が入っていた。
スマホ画面
『なんかあったら言って。すぐ行くから』
清華(ほんとに来そうで怖い…)
返信せずに画面を閉じ、眠りについた。


次の日。
室内でレクリエーションを楽しむ生徒たちのシーン。

帰り、バスの車内、夕方
なかなか進まず、渋滞が起きている道路。
担任「何キロか先で、事故が発生したらしい。みんな、帰り時間が遅くなることを親御さんに連絡しておいてほしい」
スマホで親に連絡する生徒たち。清華はスマホを手にせず、窓の外をぼーっと見ている。

無事に学校に着き、各自帰って行く。

○家の最寄駅
清華が駅から外に出ると、私服姿の隼人の姿があった。パーカーのフード被って、スマホ見ながら下向いてる。
清華「えっ…」
清華の声に気づき、こちらに近づいてきた隼人はフードを脱いだ。
隼人「おかえり」
清華「なんで…」
隼人「婚約者を迎えに来ただけ」
そう言った後、清華の荷物を持ち、歩き出す。
突然のことに唖然としながらも、隼人の後ろを追いかける。

○マンションのエントランス入り口前
清華「送ってくれてありがとうございました」ぺこり
隼人「なんかあった時は連絡してって言ったじゃん。ま、無事帰って来て良かった」
次の瞬間、ちゅ、隼人が清華にキスをした。目を見開く清華。
清華(…へ?)
ゆっくりと離れる唇アップ。
清華「えっ…」驚きの表情
隼人「そんな驚かなくていいじゃん」
清華「いや、でも…」
隼人「別に初めてじゃないんだし」
清華(え?いやいや…)
隼人「じゃ、おやすみ」頭をクシャッとする。
帰って行く隼人の後ろ姿。立ちすくむ清華。
清華(いやいやいや…)

○清華の部屋
ベットの上にうつ伏せの清華。
清華(こっちはファーストキスなんですけどーーっ!!)心の中で大絶叫
枕に赤くなった顔を埋め、足をバタバタさせる。
清華「あんなさらっと奪われるなんて…」
(あの人絶対女慣れしてる…。返せー!私のファーストキスー!!)