窓の外では、雲の隙間から淡い陽が差し込んでいた。

その光が、テーブルの上のマドレーヌを静かに照らす。


――“あの光”と同じ色に見えた。

 
(……もう少し、作ってみよう)


窓辺の光が少し傾いて、マドレーヌの焼き色をやわらかく染めた。

それが、はじまりの色に見えた。