休日の午後。
街を包む風は少しだけ春めいて、空気がやわらかかった。
商店街の一角――その本屋のウィンドウには、煌が表紙を描いた小説が並んでいる。
「……わあ、ほんとに並んでる」
思わず声が漏れた。
ガラス越しに見える表紙は、優しい青のグラデーション。
その中央に描かれた人物の瞳は、誰かを思わせる光を宿していた。
「すごいね……」
「うん。なんだか、夢みたい」
煌は隣で腕を組みながら、照れくさそうに笑う。
「描いてる時、真白のこと考えてたから。少しでも伝わるなら嬉しい」
「え、やっぱりそうなんだ……なんか、そうだと思った」
ページをめくる指先が震える。
絵の中の世界に、煌の優しさと想いがちゃんと詰まっていて――
それが、胸の奥を温かく包み込んだ。



