溺れるほど甘い、でも狂った溺愛



――小さな町のイベント会場。


人の輪の中で、スケッチブックを広げて絵を描いていた少年がいた。

真剣な横顔で。

その指先から生まれていく色が、なぜかずっと目に焼きついて離れなかった。


「あのとき……」

「ん?」

「昔ね、地元のイベントで見かけたことがあるの。まだ中学生くらいの男の子が、真剣に絵を描いてて……でも上手く描けないのか一枚のスケッチブックを破いていたから、その子にわたしのケーキを持っていったことがあるの」


煌が少し驚いたように目を見開いた。


「真白、やっと僕のこと思い出してくれたんだね」

「やっぱり、そうだったんだ」


静かな笑みがこぼれる。

運命とか、奇跡とか――そんな言葉を簡単に使いたくないけれど。


でも、きっとあの時から、何かが少しずつ繋がっていたのだと思う。