「……ん。優しい。ちゃんと真白の味がする」
「“わたしの味”ってどんな?」
「甘くて、ちょっと切なくて、でも温かい。そんな味がするんだ。真白が作るケーキって」
その言葉が、胸の奥にまっすぐ落ちた。
「……もう、そういうのずるい」
「ずるくてもいい。本当のことしか言ってないから」
気づけば、煌の指がそっとわたしの唇の端に触れる。
「……クリーム、ついてた」
「またそうやって……」
「取ってあげただけ」
そう言いながら、彼はそのまま軽く額を寄せてきた。
「ねえ、真白」
「なに?」
「こうして何かを作ってる時間が一番好き。絵を描くのも、お菓子を作るのも――同じくらい、君といると満たされる」
その声音に、胸の奥がじんわりと温かくなる。
「……わたしも。煌が見てくれてると、いつもより丁寧に作れる気がする」
「じゃあ、これからもずっと見てる」
「え?」
「真白がケーキを作るたびに、“完成した瞬間”を、全部描きたい」



