溺れるほど甘い、でも狂った溺愛



残されたのは、わたしと煌、そして沈黙だけ。

風の音が耳の奥で遠く響いていた。


煌はしばらくその背中を見つめたまま、ぽつりとつぶやく。


「……たぶん、あの人の言うこと、全部間違いじゃないんだ」

「え?」

「僕、今まで……たくさんひどいことをしてきました。描くことに夢中で、相手の気持ちを考えなかった。気づいたときには、傷つけてばかりで。だから、あの人の言葉を聞いても、何も言い返せなかった」


その声は静かで、少し震えていた。


「でも――真白のことは違う」


顔を上げた煌の瞳に、迷いはなかった。


「真白の笑顔を見ると、描くことが楽しくなる。真白が喜んでくれると、世界が少し明るく見えるんです。……こんなふうに、誰かを好きになったのは初めてなんです」


息が詰まる。

胸の奥が、熱く満たされていく。


「幻滅しましたか?」


不安そうに笑うその顔が、少しだけ切なかった。