溺れるほど甘い、でも狂った溺愛



煌は黙って頷き、ただ耳を傾けてくれていた。

その沈黙が、言葉を続ける勇気をくれた。


「一年生のときのコンテストで、最優秀賞をもらったんです。それで、周りがもっと冷たくなって。それで、二年のとき――ある事件が起こったんです」


胸の奥がきゅっと縮まる。

息を吸うたび、過去の匂いが蘇る気がした。


「その年のコンテストは、材料も自分で用意する形式でした。コンテストに出る子が、“材料が使えなくなっちゃった”って泣いてたんです、前の日に。その日は雨が降っていました。放っておけなくて、わたしはその子に手を貸すことにしました。珍しい材料だったから、夜遅くまで探して……最終的には、見つかったけど……そのまま帰ったら、身体が冷え切って、次の日、コンテスト当日――高熱が出たんです」


煌の眉がかすかに動いた。


「それでも、出場したんですね」

「はい。どうしても諦めたくなかった。でも、当日、体もぼうっとしてて……。焼き上げたお菓子を見た審査員の人が、“塩と砂糖を間違えている”って」


言葉が喉の奥で詰まる。