溺れるほど甘い、でも狂った溺愛



翌月。

店の閉店作業を終えたころ、芙美子さんが紙の束を手にやってきた。


「真白ちゃん、これ。スイーツフェスタの出店者リストが届いたみたい」

「もうですか?」

「ええ。詳細はこれからだけど、参加店舗の名前は出てるのよ」


そう言って渡された紙には、整った文字でいくつもの店名が並んでいた。
県内外の有名店の名前がいくつも目に入る。


(すごい……。本当に大きなイベントなんだ)


胸の奥が高鳴る。

けれど、その鼓動の奥に、どこか冷たい感触が混ざった。


何かに呼ばれるように、下のほうへと目を滑らせていく。


――そこに、見覚えのある店の名前があった。


「……っ」


指先がわずかに止まる。

紙の端が、かすかに震えた。


(……どうして、ここに)