午後10時、まだ夜は始まったばかりとでも言いたげにネオンが照らす東京のど真ん中のこの場所で彼に会うなんて、誰が予想しただろうか。 「전하늘(チョン・ハヌル)?」 声をかけてすぐ、考えなしに声をかけてしまったことを後悔した。向こうはきっと私の事を覚えていない。声をかけるんじゃなかった。 でも、反射的に声をかけてしまう程に驚いたのだ。海を越えた隣国に居るはずの元クラスメイトが日本にいたんだから。