妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

「おい、ちょっと」

フェリクスが騎士服にしがみ付く私に戸惑っている。私はこれからキルステンの口からビルゲッタへの本音を聞くのが怖い。嫌いな女と十二年も付き合わされた挙句、結婚までさせられた彼。愛されていると感じたことは一度もないけれど、鬱陶しいと思われていたとはショックだった。

キルステンが私を無言でフェリクスから引き剥がす。私は思わず爪でフェリクスの騎士服のボタンを引きちぎってしまった。ボタンがゆっくりと地面に落ちる。

「にゃ、にゃん(ごめん、フェリクス)」