妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

「団長、誰が聞いているか分からない場所で、皇室批判は危険ですよ」

キルステンはエマヌエル皇帝に比べると甘いというのが、貴族たちからの評価だ。私は思わず今はない傷跡があったはずのお腹を摩った。

(私と結婚してくれたのも同情⋯⋯分かっていたけど)

フェリクスが私を抱えて、皇城の方に小走りで急ぐ。
「にゃ、にゃ、にゃーん⋯⋯。(フェリクス、私、もうキルステンとは⋯⋯)」
キルステンと結婚し妻になり、猫として寵愛を受けた。

それで、もう私は十分だ。

私が邪魔をしてしまったけれど、今からアルマとキルステンの愛の物語が始まる。センチメンタルに浸っていると、怒りを含んだキルステンの声が聞こえた。