「ビルゲッタが?」

キルステンは心から驚いたような声を上げる。私は昨日不用意にフェリクスに抱きついてしまった自分を恥じた。

「ロレーヌ侯爵には三日の猶予を与えた。三日後になってもビルゲッタが姿を現さなかったら、ロレーヌ侯爵家の有責で離婚だ。本当についているな、お前がビルゲッタに冷たくしていたお陰で彼女から逃げ出してくれた。ロレーヌ侯爵家からの寄付も十分吸い取ったし、もうビルゲッタは用済みだろう」

淡々と語るエマヌエル皇帝の姿がぼやける。猫になっても涙は出るらしい。

「ビルゲッタと離婚させて、皇帝陛下は僕をどうしたいのですか?」