猫の私に何ができるのだろう。キルステンは早くに母親を皇妃に暗殺されている。そして、当時の皇妃はその罪により処刑。この大帝国で唯一皇位継承権を持つキルステン。小説にそんな記述はなかったのに、彼自身も十四歳の時に暗殺者に狙われた。世界のリーダーとも称されるルスラム帝国の皇室は揺らいでいる。

「大丈夫、心配しないで。ほらっ」

キルステンがまた手づから生ハムを食べさせてくれた。
(私の好物覚えててくれたのね)

その生ハムを夢中に頬張っていたら、いつの間にかキルステンは部屋から出て行っていた。キルステンが去ると共に、メイドたちが食事を片付け始める。