妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

私は思わず、消えてしまった腹部の傷跡の辺りを抑えた。私はこの傷で出血多量になり命を危険に晒した。暗殺者の狙いは明らかにキルステン。もし、キルステンが傷を負っていたかと思うとゾッとする。

「その傷⋯⋯腹の傷のことがあって、キルステン皇太子殿下はお前に引け目を感じて寝所を訪れられないんだと思う」

「そうなの? でも、今、この傷は⋯⋯」

私は猫だった時に、アルマにこの傷を治して貰ったことを思い出した。
(あっ、あれ? 私、猫だったんだけど、もう人間に戻れたの?)

「もうすぐ夜が明ける。とにかく、ビルゲッタは皇城の自分の部屋に戻って⋯⋯」