五月だというのに肌寒いと思ったら、空から雪が降って来た。
空から天使の羽が舞うように降る雪は、聖女アルマが皇城に来るのを祝福しているようだった。幻想的な光景に、天国にいるような気分になる。

愛に溢れた聖女が氷のようなキルステンの心を溶かす。

「雪か⋯⋯綺麗ね」
私は思わず手を伸ばす。頬にも雪が落ちたのか湿った感じがする。
「ビルゲッタ、泣いてるのか?」
キルステンに指摘されて気がついたが、私は涙を流していた。

明日の晩に開かれる彼の誕生祭。