妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

「ここで、名前を呼ぶのは禁止です。楽しんでください。いつもの自分ではない、他の誰かになれますわ。自分を解放するのって、気持ち良いですよ! 少しはその頑丈な殻を破って楽しむ事を覚えないと、夫にさえ触れられない体が寂しがってますわ」

アルマは軽やかにそう言い残して見知らぬ金髪の男に連れられ、体を密着させてダンスを踊る。私はその姿を見ながら、自分には絶対にできないと思った。

(夫にさえ触れられない体⋯⋯)

彼女に言われた言葉が私の心に闇を落とす。初夜は義務。その義務を果たすことさえしなかったキルステン。彼は余程、私が嫌いなのだろう。