目元だけ隠した仮面を付けて、明らかにふしだらな事を目的とした場所に来てしまった。
私はこんな場所に来たことが、ルスラム王国で次期皇帝として足場を固めようとしている夫キルステンの足を引っ張るような気がした。

「人間は窮屈に追い詰められると、本能に正直に退行してしまうのかもしれないですね。でも、みんな楽しんでいますわ。ビルゲッタ様! 今日の真っ赤なドレス、凄い似合ってますわよ。たまには、ただのビルゲッタになって楽んだらいかがですか?」 

立ち去りたいという私の想いを引き止めるようなアルマの言葉。

「アルマ、でも、私はここで失礼するわ」