私はいち早く実家に帰り家族に会いたい気持ちと、ここまでしてくれたアルマの提案に乗らなければならないという想いが交差した。

「出かける事を誰にも伝えていないので」

「ダメですか? 今でないと平民の私が双子のように皇太子妃様と出掛けるなんてできないのです。ポメイ村にいる時から、ずっとビルゲッタ様に憧れておりました」

真っ直ぐに縋るように私を見つめるアルマの申し出は断れない。

「じゃあ、少しだけなら⋯⋯」
「やった。決まりですね」

アルマのように近い距離で私に接してくる貴族令嬢は今までいなかった。
八歳の時、次期皇帝になるキルステンと婚約。