お腹には今もその時の刺し傷の跡が痛々しく残っているが、これは彼を守れた勲章。 私の力不足で、証拠不十分によりグロスター公爵家を追い詰められなかったのだけが心残り。

結婚してからも、キルステンは食事さえ私と一緒にしようとはしない。
今日はラブコールを送り続け、一ヶ月ぶりに手に入れた彼との時間。

私は侯爵令嬢でありながら、パティシエに弟子入りしお菓子作りを学んだ。マカロンタワーは構想一ヶ月、制作に四時間掛けた自信作。 彩り、味、全てにおいて完璧に仕上げたはずだ。甘い物好きのキルステンが喜んでくれると思っていたが、彼は一口もマカロンを食べようとしない。