「こちらのドレスにお着替えください」

馬車に乗り込むなり、向かいのソファー上部を開けアルマが取り出して来たのはドレス。真っ赤なシルクに金糸の刺繍が美しい。普段の私なら着ないセクシーな胸元の開いたドレスだ。

「私とお揃いです。私、ビルゲッタ様と仲良くなりたくてお揃いのドレスを用意していたんです。是非、着てみてください。ビルゲッタ様の美しさを引き立ててくれると思います」

自分のことに集中し過ぎて気にしていなかったが、アルマは聖女には似つかわしくない魅惑的なドレスを着ている。まさに、今、彼女がソファーの下から出して来たものと同じものだ。

「ありがとう。私に似合うかな」