一晩中部屋で準備をして待っていたけれど、初夜さえすっぽかされた。

私は小説を読んで、キルステンの孤独も政敵も知っていたし、実は甘いものが好きなことを知っている。

だから、彼が寂しくないように返事が来なくても手紙を書き続け、会ってもらえない日ばかりでも頻繁に皇城へ参内した。孤独な彼に自分を大切に思っている人が存在することを知って欲しかった。

政敵である貴族派のグロスター公爵の動向も逐一チェックした。 キルステンは十四歳の時に公爵家の企みで暗殺されそうになったが、私が盾となり防いだ。