すると、アルマはニヤリと笑い姿を変え出す。
目の前に現れたのは艶やかな黒髪に憂いを帯びたアメジストの瞳を持つ美男子。

「にゃ、にゃい!(キルステンになるなんて許さん!)」
私は怒りのあまり両手でアルマの顔を引っ掻きまくった。
前世からの推しへの冒涜は許せない。

すると、アルマは再びフェリクスの姿になる。
「はぁ、あんた何なの。ただの乱暴な女じゃない。キルステン皇太子殿下もなんでこんな乱暴な雌猫に拘ってるんだか。私とあそこまでの取引をして⋯⋯」
唇を噛み苦虫を潰したような表情になるアルマ。
(キルステンがアルマと取引をした?)

私は急に不安が襲ってくる。