「⋯⋯んっ好き! ごめんなさい。キルステンが好きなの。私って彼の為に生まれて来たのかな」
前世で推しだったキルステン。
転生したら推しの婚約者だった。
浮かれて、冷たくされても彼を一途に愛した。
誰にもいえない孤独に苦しむキルステン・ルスラム。

これだけ他の男から好意を向けられても私はキルステン命。
本当に情けなくて、みっともなくて申し訳ない。

「違うよ。ビルゲッタはキルステン皇太子殿下が好きなだけ。お前はお前が幸せになる為に生まれて来た」
フェリクスの優しい言葉に身体中の産毛が逆立つ。

もっとやりたい事もあったし、親に反抗もしてみたかった。
何一つできないまま死んでしまった前世。

後悔ばかりで苦しんだ私はキルステンを愛することで気持ちを保った。
本当に前世の私の映し鏡のように不器用な男。
愛しくて仕方なくて、彼を忘れたように生きる自分を想像できない。