エマヌエル皇帝の音頭に従い、待ち構えていたウェイターがシャンパングラスを貴族たちに配る。 私はその時にキルステンに配られたシャンパンに違和感を感じた。
(なんだろう、何か沈殿物のようなものが見える。粉?)

原作にはここでキルステンが毒を盛られるという記述はない。キルステンの誕生祭は物語の始まりと、彼とヒロインの恋の始まりを告げるプロローグでし かない。しかし、彼がシャンパングラスに口をつけようとした瞬間、私はマントの隙間から飛びて出してシャンパングラスにジャンプしていた。

「にゃ、にゃ、にゃーん!(キルステン、それ、飲んじゃダメ!)」

「わっ!」