「皇太子妃? 他国に逃げたような人間が皇太子妃ですか? 目を覚ましてください! いつまでも女のケツを追いかけていたら、民衆から笑われますよ。離婚は成立しているんです。他の男と駆け落ちした女などお忘れください」

「大いに笑えばいいさ。僕はみんなに⋯⋯本当はビルゲッタにずっと前から彼女だけを愛してるって伝えたかった」
スルッと漏れた本音に自分でも呆れる
帝国の九割は平民。その平民の気持ちなんてビルゲッタがいなければ考えたことも無かった。
目の前の貴族しか目になかった僕に彼女は昔囁いた。
皇宮の前で不満を垂れる平民の集団が目に余るとつぶやいた時だった、