母親を殺された怒りで狂った父親を諌められない程に幼かった自分。
そんな僕をただ無償の愛で包んでくれたビルゲッタ。

「僕は一度も猫の呪いにビルゲッタがかかったことを口にしていない。随分物知りなグロスター公爵は、皇太子妃を陥れた首謀者ではないか?」

ここにいる騎士たちにはビルゲッタが昼間猫になってしまう呪いにかかっている事までは説明してある。
僕はどうかビルゲッタの頑張りを皆が理解してくれる事を願った。

ビルゲッタは他の貴族令嬢とは違い強かさに欠けた。
陰口を言われても、言い返して相手を打ち負かす強さもない。
そもそも自分に反感を持っている人間でも傷つけたりできないのだ。