「結局、惚れた女の為なら平気で忠臣を罰したエマヌエル皇帝と変わりませんな」
グロスター公爵が高らかに笑いながら言った言葉に皆が気まずそうに目を逸らした。

父、エマヌエル・ルスラムは罪深い男だ。
僕の母が暗殺された怒りをぶつけるように過剰な断罪をした。
それにより未だ、皇室への不信感が常に漂う。

反皇室派を上手く口車に乗せれば、クーデターも容易いだろう。

「父上の行動は無意味だ。怒りに任せて罰を与えただけ。一緒にしないでくれ」
僕の言葉を皆が静かに聞くのが分かる。
皇太子が皇帝を批判するなど許されない。
でも、この場面を見た誰が僕を罰せられると言うのだろう。