キルステンの心底驚いたような軽蔑したような声が背中から聞こえる。

「キルステン皇太子殿下、そういう事なので私の事は放っておいてください。私はもう貴方を愛してはいません」
まるで自分の声じゃないような低い声が体から出る。
あえて敬称で呼び、敬語を使い彼と距離をとる。

私も彼から罰せられるかもしれない。
今の横暴な彼なら、不貞を働いたと私を罵り足を折り腕を折るかもしれない。
でも、私はフェリクスと同等かそれ以上の罰を受けるべきだと思っていた。

「ビ、ビルゲッタ? な、何を言って」