足から崩れるように倒れそうなフェリクスを私は包み込むように支えた。

左足の膝の角度がおかしい。
この足も折られている。

(全部、私の責任だわ)
涙が込み上げるも、唇を噛んで耐えた。
私に泣く資格なんてない。

不安から安易にフェリクスを頼ったのも、キルステンを信じきれず逃げ出したのも私のせい。

「フェリクス、愛してるわ」
私は精一杯の嘘をついて彼を抱きしめた。
私のフェリクスに対する気持ちは愛ではなく、罪悪感だ。
逃げる為には彼が必要、フランシスを育てるには父親がいた方が良い。
振り返れば彼の好意を私はずっと利用してきた。

「はぁ?」