「僕を頼ってくれ。困った事があったら、誰よりも先に僕に打ち明けてくれ。僕たちは夫婦だろ」
「正式に離婚したと⋯⋯」
「それは、僕の力不足だ。アルマを甘く見ていた。エマヌエル皇帝陛下の心の隙間を利用し、いつの間にか彼女は皇帝陛下を洗脳していた。もう息子の僕の声も父上には届かない」
「なんて事を!」

エマヌエル皇帝の心の隙間、それは愛する人を失った怒り。埋めようのないブラックホールのような喪失感。

エマヌエル皇帝陛下は誰より、キルステンの母親である先の皇后陛下を愛していた。しかし、なかなか子供が出来なかったことから、周囲から皇妃を娶るように薦められる。