「ち、違います。あの子は私と⋯⋯」
キルステンと目が合わせられない。冷静を装いたいのに声が震える。

「ダルトワ卿との子だとでもいうのか? 君はいつもそうだ。困った時は僕ではなく、ダルトワ卿を頼る」

「そんなことは⋯⋯」

キルステンの言う通りだ。
私はキルステンに迷惑を掛けないように過ごして来た。困った時はフェリクスか兄のケネトを頼った。

「あの子は僕の子だな!」
確信めいて強くキルステンが主張するということは、フランシスの瞳の色を見たのかもしれない。私が何を言おうかと考えあぐねていると、急に両肩を彼に強く掴まれた。