「アルマについて情報を集める程に、彼女が危険な人物だとは分かっていた。美しい外見に隠された自己中心的で極めて残酷で醜悪な姿。分かっていたのに、聖女ということにしてルスラム帝国に招き入れてしまった。結局、君を再び危険に晒したのは僕だったという訳だ」

キルステンが自嘲的に語る真実は私の予想を遥かに超えてくる。彼は私の傷を治そうとずっと秘密裏に動いていた。アルマの正体を魔女だと知りながら、私の傷を治すことを優先してルスラム帝国も危険に晒している。次期皇帝として教育を受け、自分の立場を誰より理解している彼のした事とは思えない。

「私の正体にいつ気がついたの?」