ケネトが目頭をおさえている。
手で隠しているが、影から覗く琥珀色の瞳には涙が溢れていた。
「にゃ、にゃん (私はここだよ)」
私は背伸びをしながら、ケネトの目元を舐める。
「慰めてくれるのか? お前はビルゲッタに似て優しいな」
ケネトが再び私の毛並みを整えるように撫でた。反射的に私は喉をゴロゴロと鳴らして喜びを表現した。
キルステンの誕生祭が、開会を伝えるトランペットの高らかな音と共に開かれる。 荘厳なオーケーストラの演奏が始まった。
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