「なんで、謝るの?」
「また断られる気がして、自分が傷つきたくない保険かな? ビルゲッタの気持ちが固まったら、その指輪を左手の薬指に付けてくれる?」

私はコクコクと頷いた。
頭の中にはいつもキルステンがいる。それでも、フランシスと私をここまで思ってくれる男を手放せる気がしない。

月が真上に来るような真夜中。フランシスを抱いた私とフェリクスはクリフトン・アルベールの王宮内の住居の前に立っていた。そこには門番のような案内人がいる。