私は嬉しくて思わずフェリクスに抱きついた。彼は当たり前のように私を抱き返す。ここで暮らし始めて一年近く。彼と苦労しながらも、なんとか生活して来た。
クリフトン・アルベールはアルベール王家に産まれた魔女らしい。変わり者で男には優しいが女には厳しい。それゆえに、フェリクスの来訪には応じたが、私は断られ続けていた。王家の血筋の魔女に会えば私の呪いも解けるかもしれないという思いと、きっと無理だという諦めの気持ちが交差する。

「大丈夫だ。エリナ。きっと、上手くいく」
「ありがとう。フェリクス。はい、これ、セレストさんからよ」
「おっ、スイカズラじゃないか! これで花酒でも作って飲もうかな」