しかし、そのような奇跡は起こらず、私たちの関係は平行線のままだった。

「猫ちゃん、今日は忙しいの。ちょっと、あちらに行ってってくれる?  ビルゲッタ様ったらどうしたのかしら?」

ヘルカが私を抱き上げ、扉の向こうの部屋の外に出す。
私は思わず自分の手を見た。
(猫の手! ぷにぷにのピンク色の肉球もある!)

部屋の中にある姿見にはシルバーのふわふわな毛に琥珀色の瞳をした子猫が映っていた。

「にゃ? にゃにゃん?」
(どういうこと?  もしかして、猫の姿ならキルステンの側にいられる?)

神様は本当にいたようだ。