私はその時になって、ようやっと彼が自分に見せようと準備したのが噴水ショーだったと確信した。

「私はとっくに驚いているわ。フェリクスが私の為に色々してくれた事。貴方にだって近衛騎士としての仕事があったのに、私を守ることを優先してくれた」

私は自分もしゃがみ込み、フェリクスを慰めるように彼の頭を撫でた。指先をサラサラと流れる赤い髪。兄のような彼を子供のようになだめている不思議なシチュエーション。ふと、フェリクスが私を見る目が熱っぽいことに気が付く。慌てて手を引こうとした所を、彼に手首を掴まれた。

「ビルゲッタ、俺と結婚して欲しい」