妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

私が震え上がるとフェリクスは私をより強く抱き寄せた。私たちは街の中心部にある泉のところまで到着した。

「街灯が付いいて街も明るいのに、今日は誰も人が外に出てないのね。風が強いからかしら」
「俺とエリナの二人きりだな」

うっとりと語ってくるフェリクスに私はまた不安になった。
真夜中に銀色の月だけが浮かんで、二人を見ている。

ふと泉の水面に映る自分たちを見ると、知らない人が見たら本当のカップルに見えそうだった。
(これから、どうなるのだろう⋯⋯)

呪いが解けないまま、ルスラム帝国にも帰れない未来。
たった二ヶ月なのに、私はそのような将来を想像して不安になっていた。