妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

「今は、もっと刺繍が上手いからね。フェリクスてば、物持ち良過ぎ。このハンカチ、十二年も使ってるの?!」

私からハンカチを受け取ると、フェリスクスはそのハンカチに口付けをした。その仕草が普段見せる彼とは違い艶っぽくてドキッとしてしまう。私は思わず彼から目を逸らした。昨晩、バルコニーで恋人のような目で見つめてきた彼。何だか、急に彼の男の部分を見せられていて困惑している。

「これは、宝物だよ。好きな子から貰ったものだから」
「⋯⋯」
フェリクスの様子が変だ。私と彼は家族のような仲だったはず。

「アルベール王国に行くのは、呪いを解く為よね? アルマは聖女なのに呪いを掛けれるの?」