「ダルトワ卿、行方不明の妻を見つけてくれてありがとう。もう、下がって良いぞ」

いつになく威圧感を漂わせるキルステン。私は頭を下げてその場から去ろうとするフェリクスを見送るしかなかった。

キルステンは無言で私を横抱きにする。ずるりと私の肩からフェリクスの騎士服の上着が落ちた。

「キルステン、上着が⋯⋯」
「⋯⋯」

私の言葉に全く彼は反応しない。皇城内の廊下ですれ違う夜間護衛の騎士たちが私たちを見て目を丸くしている。キルステンの寝室に到着すると、少し乱暴に私はベッドに降ろされた。

「あの⋯⋯私」
「なんだ?」