「キルステン、この十二年私は貴方と一緒にいられて幸せだったわ。貴方の幸せを心より祈ってる」
私は頭を深々と下げると、足早にその場を去った。
地面に涙の滴が雨の降り始めのように落ちるのが分かる。
皇太子妃が人前で涙を見せるなど、あってはならない。
彼に愛されなくても、失望はされたくない。
後ろから彼が私を呼ぶ声が聞こえたが、涙が止められなくて振り返れなかった。
実家であるロレーヌ侯爵邸に戻ると、私を溺愛してくれる兄のケネト・ロレーヌが迎えてくれる。 私と同じ銀髪に琥珀色の瞳を持つ彼は優しい理想の兄。 しかし、彼の愛もアルマに取られてしまう。
私は頭を深々と下げると、足早にその場を去った。
地面に涙の滴が雨の降り始めのように落ちるのが分かる。
皇太子妃が人前で涙を見せるなど、あってはならない。
彼に愛されなくても、失望はされたくない。
後ろから彼が私を呼ぶ声が聞こえたが、涙が止められなくて振り返れなかった。
実家であるロレーヌ侯爵邸に戻ると、私を溺愛してくれる兄のケネト・ロレーヌが迎えてくれる。 私と同じ銀髪に琥珀色の瞳を持つ彼は優しい理想の兄。 しかし、彼の愛もアルマに取られてしまう。



