コイ、アイ。



抜け殻のような日々を送って、もう何年か。



何にも何にも考えられない、ただ泣き叫んでは、たまに現れる幻の姉ちゃんにまた胸が苦しくなって。





部屋のドアの向こうから気配がして、疲れた顔をした母が顔を覗かせる。


今年も夏が来たようだ。


ラムネの瓶をひとつ持って来た母。


姉ちゃんの笑っている涼やかな写真も、同時に持って来たようだ。



奪い取るように母の手からラムネを取り、ぎゅうっとビー玉を押し込む。


かつん。
ごつん。



瓶を傾けるたびにビー玉が動くのが懐かしい。




今年も、夏が来た。



姉ちゃんのいない夏は、うまく笑うことなんてできなかった。




「ごめんね、姉ちゃん」



ラムネはしばらく、笑って飲めねぇや。



「ラムネ」 fin.