「っ…姉、ちゃん…?」
交通事故って、飲酒運転って、本当にあるんだ。
事故のニュースを見るたびにどこか他人事だと思ってた、けど。
姉ちゃんを繋いでいる機械が鳴り続く現実、救急車で運ばれる前の血飛沫。
俺を庇って、姉ちゃんは死んだ。
考えられなかった。
「俊哉のこと、助けてくれたのね」
母は目を細めて笑って、まだ温かい姉ちゃんの手をそっと撫でた。
その目からは透明な涙が溢れていて、いつの日か飲んだあのラムネのビー玉と重ねてしまって。
立ち直れそうにない。
現実なんか、受け止められない。
「姉ちゃんっ、」
涙が出なかった。
そんな自分が冷酷だと思った。
俺を助けて死んだ。
俺の代わりに、姉ちゃんは。
俺は姉ちゃんの命を捨ててまで生きる価値はあるのか。
なにもなにも、わからない。
なにもなにも、考えたくない。
全部全部、夢ならいいのに。
早く、覚めて。



